Happy City

知る人ぞ知る蕎麦と酒の隠れ処

店内「路地裏に佇む、静かな美味の空間」

板橋区立第二中学校近くにある和の趣漂う蕎麦処いちご庵さん。
大山駅から少し離れた場所にあり、知らなければ通り過ぎてしまいそうな控えめな外観ですが、だからこそ、この店を見つけたときの高揚感は特別です。
格子の窓からこぼれるやわらかな灯り、和紙を使った内装どこを見ても気取りがなく、落ち着いた和の空気がゆっくりと流れる空間。

ご主人お一人で接客から調理までされているため提供までに時間がかかりますがその分ゆったりとした時間を過ごすことがでいます。
ご主人の丁寧な所作や優しい声も、空間の静けさに寄り添うようで、“行きつけにしたくなる一軒”という言葉がよく似合う店です。

おすすめ「そば、鴨、酒。それぞれが主役。」

いちご庵の主役は、間違いなく鴨とそば、そして酒です。
中でも人気の「刻み鴨汁せいろ」は、丁寧に引かれた出汁に鴨の旨みが染み出した温かいつけ汁と、香り高い手打ち十割そばの相性が抜群。
箸で手繰ると、そばの香りがふわりと鼻を抜け、噛むほどに鴨の出汁がじんわりと広がります。
一品料理にも注目。鴨のタタキや季節の野菜を使った一皿など、どれも日本酒に寄り添うような味わい。
酒の取り揃えも見事で、冷酒から熱燗まで、産地と風味にこだわった銘柄が並びます。
最後は濃厚な蕎麦湯でつけ汁を割って、香りを楽しみながら締めの一杯。
なんとこの蕎麦湯、蕎麦湯のためだけに仕込んでいるというから驚きです。
単なる茹で湯ではなく、最初から蕎麦湯としての役割を担って用意されているその丁寧さに、この店のこだわりが詰まっています。

派手な演出はなくとも、素材と技がきちんと料理に生きている。それを静かに語るような、そんな料理と時間があります。